大学生、特に大学1年生は、これから教職課程を履修するかどうか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
教員免許は中学校と高校で別々の資格です。
そのため、どちらか一方だけを取得するか、あるいは両方を取得するのか自分で決めなければなりません。
しかし、教職課程を履修するということは、それだけ授業数が増えるのでなかなかハードです。
そこでこの記事では、あなたが中学校と高校の教員免許のどちらを取得するべきなのかか、あるいは両方取得するべきなのか、解説します。

中学校の教員免許取得のための教職課程|高校と比較

中学校教員になるためには、中学校の教員免許を取得しなければなりません。
高校の教員免許を持っていたとしても、中学校で授業をすることはできません。
中学校の教職課程は高校と比べて、いろいろと必要なことが多く、大変です。
その理由をひとつづつ確認していきましょう。
中学校の教員免許取得のために必要な単位数
教職の授業の区分と必要な単位数は以下の通りです。
さまざまな区分がありますが、その授業例としてここでは私自身の経験を踏まえて、理科の教員免許を取得する場合について例示します。
教科に関する科目 | 教職に関する科目 | 教科または 教職に関する科目 | その他 | 合計 | |
中学校 | 20 | 31 | 8 | 8 | 67 |
高校 | 20 | 23 | 16 | 8 | 67 |
授業例 | 物理学 化学 生物学など | 教育心理学 理科教育法など | 物理学 教科指導法など | 日本国憲法 情報など |
この表から、中学校で必要とされる教職関係の単位は合計で67単位であることがわかります。
教職課程を履修するためには、結構な数の単位を余分に習得しなければならないということがわかりますね。
中学校での教育実習期間は、高校に比べて長い
教員免許を取得する上で、教育実習は避けられない道です。
中学校で教育実習を行う場合、3週間の教育実習が行われます。
一方、高校で必要とされる教育実習の期間は2週間です。
中学校の方が1週間、教育実習期間が長いということになります。

「教育実習は楽しい!」というのは、幻想です (経験による独断)。
教育実習期間が長いというのは、それだけ大変な時間を過ごすことになります。
介護等体験の単位も取得する必要がある
高校の教職課程に無くて、中学校の教職課程にあるものと言えば、「介護等体験」を行わなければならないということです。
1週間にわたって、社会福祉施設や特別支援学校において、介護等を体験すること。
介護等体験に参加するためには、介護等体験に参加するための授業もあり、その授業も履修しなければなりません。
そのため、中学校の教員免許を取得する上では、「介護等体験」と「教育実習」の2つの実習に参加する必要があります。

「介護等体験」がある分、高校よりも中学校の教職課程の方が忙しくなりますね。
高校の教員免許取得のための教職課程|中学校と比較

では次に、高校の教員免許取得のための教職課程について、内容を確認していきましょう。
高校の教員免許取得に必要な単位数は実際は少ない
次の表は、先ほど中学校の免許取得に必要な単位数を示した表と同じものです。
教科に関する科目 | 教職に関する科目 | 教科または 教職に関する科目 | その他 | 合計 | |
中学校 | 20 | 31 | 8 | 8 | 67 |
高校 | 20 | 23 | 16 | 8 | 67 |
授業例 | 物理学 化学 生物学など | 教育心理学 理科教育法など | 物理学 教科指導法など | 日本国憲法 情報など |
必要とされる単位数の合計は中学校も高校も同じ67単位です。
しかし、その内訳は異なっています。
中学校と比べて高校の教職課程では、「教職に関する科目」の単位数が8単位少なく、「教科又は教職に関する科目」が8単位多いことがわかります。
「教職に関する科目」は、その多くが卒業単位に認められないため、教職課程を履修している人だけにのしかかる負担となります。
しかし実は、「教科に関する科目」に充てられる20単位を超えた分の単位は、「教科又は教職に関する科目」に充てることができます。
「教科に関する科目」は、自分の学部で開講されている専門科目であり、教職課程を履修しているかどうかに関わらず、卒業単位確保のために修得している場合が多いです。
つまり、「教科に関する科目」と「教科または教職に関する科目」は、教職課程に関係なく履修することになるので、特段大きな負担にはならないのです。

つまり、事実上、高校の免許取得に必要な単位数は、中学校に比べて少ないということができます!
高校の教育実習の期間は中学校よりも短い
高校の教育実習期間は、最低で2週間です。
そのため、中学校の教育実習よりも1週間短いです。
教育実習期間は何かと金銭面的にも精神的にも負担が大きいです。
そのため、見方によっては高校で教育実習を行う方がよりよいと考える人も多いでしょう。

ただ、大学によっては高校の教育実習も3週間行う必要があるという場合もあるようです。
>>【関連記事】高校の教育実習で必要な持ち物を自身の経験から大公開!
中学校と高校の両方の教員免許を取得するべきな人

ここまで中学校と高校の教職課程を比較してきました。
では、どちらを選択するのがよいのでしょうか。
「将来教員を目指している」、「第一志望は教員だ」というひとは、中高両方の教員免許を取得しましょう。
自分が働きたい学校・都道府県によって必要な免許が異なる
教員採用試験では、中学校の採用試験であっても高校の免許を取得している必要がある場合があります。
その逆も然りです。
例えば、東京都の教員採用試験では、中高両方の教員免許を取得していないと、受験資格すら与えられません。
そのため、自分の志望する都道府県や学校が、どのような採用方式を取っているのか確認しておく必要があります。

少子化に伴い、これからはどんどんと教員の採用数が減っていくかもしれません。
そのような場合、教員を第一志望とするなら、中高両方の免許を取得している方が確実に有利です。
中高一貫校の教員採用試験は、ほぼ確実に中高両方の免許が必要
中高一貫校の教員採用試験では、中学校と高校の教員免許の両方が必要な場合が多いです。
なぜなら、高校と中学校の先生を兼任することで、より効率的な人事が可能になるからです。
そのため、中高一貫校での勤務を希望している人は、中高両方の教員免許を取得することをおススメします。
中高どちらか一方の教員免許だけを取得するべきな人

では、続いて中学校か高校いずれかの免許だけを取得するべきという人はどのような人か、解説します。
教職に就くことが第一志望ではない人
将来絶対に教職に就きたい!と思っていなければ、中高両方の教員免許を取る必要は無いでしょう。
中学校と高校両方の教員免許を取得するとなると、授業数や実習が増え、大学生活での負担も大きなものになってしまいます。
優先順位が低いものに対して、多くの時間を投資するのははっきり言ってナンセンスです。
そのため、教職に就くことが第一志望でない人は、中学校か高校かいずれかの免許を取得することをおススメします。

ちなみに私は、高校理科の教員免許だけを取得する予定です。
100%教職志望という訳ではないためです。
まとめ|将来を見据えて取得する教員免許を中高から選択

中学校と高校の教員免許には、大きな違いがあり、特に授業数や実習の数が大きく異なることがわかりました。
将来、少しでも教職に就きたいと思っている人は、教員免許を取得することをおススメします。
その中でも、「絶対教員志望!」という人は、中学校と高校両方の免許を取得しましょう。
「教員は第一志望ではないけど、保険として...」と考えている人は、中学校か高校かいずれかの免許を取得すれば十分でしょう。

自分の将来を見据えて、取得する教員免許の種類を選択しましょう!