「教職課程は大変だ」とよく言われますが、その理由は教職のための単位を余分に履修する必要があるからです。
その単位数はなんと67単位。
しかも、中学校と高校の両方の免許を取得するなら、もっと多くの単位を修得しなければなりません。

しかし、うまく単位をやり繰りすれば、実質的な教職課程の履修単位を少なくすることができます!
そこで、この記事では、実際に高校の教員免許を取得予定の私が、教職課程でどのくらいの単位を取得する必要があるのか、またどのようにすれば楽をして授業を履修できるのか、経験に基づいてお話します。

教職課程の科目は数年ごとに改定されることがあります。
このページの情報は2020年現在の情報です。
教職課程で履修しなければならない科目と単位数

では、実際に教職課程を履修すると修得しなければならない単位数を確認していきましょう。
教科に関する科目 | 教職に関する科目 | 教科または 教職に関する科目 | その他の科目 | 合計 | |
中学校 | 20 | 31 | 8 | 8 | 67 |
高校 | 20 | 23 | 16 | 8 | 67 |
中学校と高校で科目の分類は同じですが、内訳が異なっていますね。
教職課程で必要な単位は、科目別で分かれていることがわかります。
では科目の分類ごとにひとつずつ確認していきましょう。
教科に関する科目|中学校20単位・高校20単位
「教科に関する科目」とは、自分が取得する免許の科目の専門知識を学ぶための授業です。
- 理科の教員免許を取得する場合:
古典力学、生化学、微生物学、生物進化学など - 英語の教員免許を取得する場合:
英語学、英語文学論、欧米文化論など
つまり、教科に関する専門知識を修得するための授業です。
学校で授業を行うためには、教える科目についての専門知識が必要です。
中学校でも高校でも最低20単位を修得する必要があります。
教職に関する科目|中学校31単位・高校23単位
「教職に関する科目」とは、学校で教壇に立つにあたって、教師としての知識を修得するための科目です。
- 教科に関係なく履修する科目:
教育心理学、教育史、カウンセリング概論など - 理科の教員免許を取得する場合:
中学校理科教育方法論、理科教育概論など - 英語の教員免許を取得する場合:
外国語科教育方法論、外国語科教育概論など
上の枠内のように、教職に関する科目は「教科に関係なく履修する科目」と、「教科によって履修する科目が異なる科目」の2つがあります。
教科に関係なく履修する科目は、教師全員が共通して持っておくべき知識を修得するための科目です。
例えば、生徒が教員に相談してきたときの対処法や生活指導の方法は、教員免許の科目に関わらず、すべての教員が認識しておかなければなりません。
一方で、教員は授業を行わなければなりません。
どのように授業を構成するのがよいのか、どのように教えるのが良いのか学ばなければなりません。
そのためには、取得する教員免許の科目に特化した、より専門的な教育知識を身につける必要があるのです。
そのため、「教科によって履修する科目が異なる科目」を履修する必要があるのです。

つまり教職に関する科目には、
(1) 教育に共通する概念を学ぶ科目
(2) 教員免許の科目に特化した指導方法を学ぶ科目
の2つがあるということですね!
教職に関する科目は、中学校で31単位、高校で23単位修得する必要があります。
教科または教職に関する科目|中学校8単位・高校16単位
「教科または教職に関する科目」とは、先ほど出てきた「教科に関する科目」と「教職に関する科目」を総称した科目です。
教科または教職に関する科目として、教科に関する科目と教職に関する科目の最低修得単位数を超えた単位を充てることができます。
例えば高校の教員免許を取得する場合、教科に関する科目を25単位、教職に関する科目を34単位修得したとしましょう。
教科に関する科目 | 教職に関する科目 | |
最低修得単位数 | 20 | 23 |
実際に修得した単位数 | 25 | 34 |
「教科または教職に関する科目」に充てられる単位数 | 5 | 11 |
このように、「(実際に修得した単位数) - (最低修得単位数)」を、教科または教職に関する科目に充てることができます。
また、教科または教職に関する科目のための授業が開講されていることがあります。
その場合、これを教科または教職に関する科目に充てることが可能です。
教科または教職に関する科目は、中学校で8単位、高校で16単位修得する必要があります。

効率よく教職課程を履修するなら、「教科または教職に関する科目」をいかに楽して修得するかがポイントです。
具体的な方法に関しては、後述しますのでお見逃しなく!
その他の科目|中学校8単位・高校8単位
「その他の科目」には、次の科目があります。
- 日本国憲法
- 体育
- 外国語コミュニケーション
- 情報機器の操作
このうち、外国語や情報については、そもそも学部を卒業するためには必修であるという場合があります。
その場合、日本国憲法や体育を修得すれば、その他の科目を修得することができます。

その他の科目は、余分に単位を修得したからといって、他の科目群に読み替えはできません。
教職に関する科目や教科に関する科目との最大の違いですね!
私の場合|教職のために履修した授業は27単位だけ!

ではここで、私が実際に教職のために履修・修得した単位数を公開します。
私は高校の理科の教員免許を取得予定で、教職のために27単位修得しました。

ん?おかしいぞ?
だって上の表では高校の教職課程で67単位を修得しなければならないって書いていたのに...!
私は27単位しか教職課程のために単位を修得していません。
にもかかわらず、教員免許を取得できるのです。
教職課程では67単位必要であるという事実に間違いがあるわけではありません。
しかし、修得する単位をうまくやり繰りすることで、実質的に教職課程のために履修する科目数を減らすことが可能なのです。
【要チェック!】賢く教職課程の単位を修得する方法

では、実際に楽に・賢く教職課程の単位を履修する方法を解説します。
もう一度、教職課程で必要な単位数を確認してみましょう。
ここでは、高校の教員免許を取得するとして考えてみます。
教科に関する科目 | 教職に関する科目 | 教科または 教職に関する科目 | その他の科目 | 合計 | |
高校 | 20 | 23 | 16 | 8 | 67 |
ここで、教科に関する科目がどのような科目であったか再確認してみましょう。
教科に関する科目は、取得免許の科目の専門知識を学ぶための授業でしたね。
教科に関する科目は、みなさんが所属している学部で開講されている場合がほとんどです。
つまり、教職課程を履修するかどうかに関わらず履修することになる授業の単位を、教科に関する科目として充てることができるのです。
教職課程の単位は、卒業単位に認められない場合がある

実は教職課程のための単位は、卒業単位に認められない場合がほとんどです。
そのため、教職課程のための授業は、教職課程を履修している人だけにのしかかる負担となります。
卒業単位に認められない科目群、それは「教職に関する科目」です。
教職に関する科目は学部の専門的な授業ではないので、卒業単位に認められないのです。
しかし一方で、教科に関する科目は学部で開講されていることがほとんどであり、ほとんどの単位が卒業単位として認められます。
この性質をうまく利用して教職課程を履修すれば、より負担を減らして教員免許が取得できます。
「教科または教職に関する科目」は「教科に関する科目」で代替!
では、楽で効率的に教職課程を履修する方法を具体的に説明します。
教職に関する科目は教職のためだけに取る科目ですから、はっきり言って卒業のためにはムダな単位です。
そのため、できる限り卒業単位に認定される教科の科目を多く履修するのです。
そうすることで、「教科または教職に関する科目」の単位数を効率よく習得できます。
もし途中で教職課程の履修を辞めたとしても、「教科または教職に関する科目」として教科に関する科目を中心に履修することで、卒業単位に認められないムダな単位を減らすことができます。
つまり、「教科または教職に関する科目」として教科に関する科目を中心に履修すると、リスクヘッジにも繋がるのです。
>>【関連記事】教育実習は大変だし辛いので、参加には覚悟が必要です。
私の場合、「教職に関する科目」はムダに履修していない
ここで、私が実際に修得した単位数を確認してみましょう。
教科に関する科目 | 教職に関する科目 | 教科または 教職に関する科目 | その他の科目 | 合計 | |
高校の免許取得に必要な単位数 | 20 | 23 | 16 | 8 | 67 |
実際に私が修得した事実上の単位数 | 36 | 23 | 0 (教科に関する科目の16単位分が充てられる) | 8 | 67 |
このように、教科に関する科目を16単位余分に修得することで、教員免許取得のために必要な67単位という条件を満たすことができます。
卒業単位に含まれない「教職に関する科目」は最低限の数だけしか履修しないことが、少しでも楽をするポイントです。

ただでさえ教職課程は大変なので、できる限り楽をして効率的に単位を修得しましょう!
まとめ|教職課程の授業選びのポイントは、いかに楽するか

もうみなさんお分かりのように、教職課程の授業選びのポイントは、いかに楽をして授業を選ぶか、という点にあります。
1, 2年生の頃には教師に憧れて教職課程を履修しても、3, 4年生になり忙しくなると教職課程を諦めてしまう人も多いです。
そのため、卒業にムダな単位を修得しないように、「教科に関する科目」を中心にして、履修を組みましょう。
そうすることで、教職課程を履修している人はムダ無く単位を取得できます。
万が一教職課程を途中で諦めたとしても、教科に関する科目であれば、卒業単位に認められます。

教職課程はただでさえ大変なので、できる限り楽ができるように工夫して履修を組みましょう!